映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌紹介、最後となる10曲目は、70年代イタリアのポップスター、リノ・ガエターノの「Mio fratello e figlio unico」。リノ・ガエターノは自動車事故で81年に他界しました。映画ではエンドロールに使われていて、曲が終わるとともに、実際にラジオアリーチェが警官隊の襲撃を受けた時の、ラジオ放送の録音が流れます。
お聞き逃がしの無いように。
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Matteo Santini – Chopin Nocturne Op.55 No.1
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌紹介、9曲目はMatteo Santiniが奏でる、ショパンのノクターン第15番 ヘ短調Op.55-1。バロックのスタイルを取り入れた夜想曲。暴動の夜の広場、ひとときの寛ぎの中、悔恨の念と明日への不安を感じつつ、闘争を余儀なくされる予感に満ちた場面に流れます。(YoutubeはArthur Rubinstein 演奏)
イネッサ・ガランテ – Casta Diva
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌紹介、8曲目はラトビア出身のソプラノ歌手イネッサ・ガランテが歌う、ヴィンチェンツォ・ベッリーニ作曲のオペラ「ノルマ(Norma)」第1幕第1場で歌われるカヴァティーナ、「清らかな女神よ(Casta Diva)」。医学生フランチェスコが警官に射殺され、その追悼デモから否応なく暴動に発展してしまう場面で流れる歌声が、そのやるせない思いを伝えています。
聖なる老木に銀の光を注ぐ
清らかな女神よ
そのお顔を覆う雲のヴェールを取り払い
美しいお顔を私たちに向けたまえ
おお、女神よ、燃える心を鎮めたまえ
人々の激昂した心を鎮めたまえ
あなた様が天に満たしている平和を
この地上にも広めたまわんことを
パティ・スミス – Land
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌紹介、7曲目は後出のアーティストに多大な影響を与えたといわれる、パティ・スミスのデビューアルバム「Horses」から、3つのパートで構成される「ランド “Land”」。映画では自由の歓喜から混乱へと向かう、ストーリーの転換点を暗示する曲として使われています。
The Fugs – Nothing
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌紹介、6曲目は二人のビート詩人が始めたという、変態バンドの呼び名も高いThe Fugs“Nothing”。脱力したビーチボーイズのようなコーラスが面白い。“Nothing”について語るのは馬鹿ているでしょう。とにかく何もないのですから。
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Monday nothing, Tuesday nothing, Wednesday and Thursday nothing, Friday for a change, a little more nothing, Saturday once more nothing.
Sunday nothing, Monday nothing, Tuesday and Wednesday, nothing, Thursday for a change, a little more nothing, Friday once more nothing.
Montik gornisht, dinstik gornisht, mitvokh un donershtik gornisht, fraytik for a novehneh, gornisht gigeleh, Shabbos vider gornisht.
Lunes nada, martes nada, miercoles y jueves nada, viernes por cambio un poco mas nada, sabado otra vez nada.
Na na nana, na na nana …
Oh, Village Voice nothing, New Yorker nothing, sing out in folk ways nothing. Harry Smith and Allen Ginsberg, nothing nothing nothing.
Poetry nothing, music nothing, thinking and dancing nothing. The world’s great books, a great set of nothing. Haughty and foddy, nothing.
Fucking nothing, sucking nothing, flesh and sex nothing. Church and Times Square, all a lot of nothing. Nothing, nothing, nothing!
Stevenson nothing, Humphrey nothing, Averell Harriman nothing. John Stuart Mill nill-nill, Franklin Delano Nothing.
Carlos Marx nothing, Engels nothing, Bakunin Kropotkin ? nyuthing! Leon Trotsky, lots of nothing. Stalin less than nothing!
Nothing, nothing, nothing, nothing, a whole lot of, a whole lot of nothing. Nothing, lots and lots of nothing, nothing, nothing, nothing.
Not a goddamn thing.
カール・ダグラス – Kung Fu fighting
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌紹介、5曲目はジャマイカ出身の歌手カール・ダグラス“Kung Fu Fighting(吼えろ!ドラゴン)”。ラジオアリーチェに迷い込んだ、労働者階級の二人の主人公とラジオアリーチェのインテリ学生を対立から融和へと導く、主題歌に相当する1974年のヒット曲。
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フランク・ザッパ – Peaches En Regalias
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌紹介、4曲目はアメリカン・ロックの怪人フランク・ザッパの代表格のある名曲「Peaches En Regalias」。フランク・ザッパは、あらゆる種類の音楽の要素を取り込みながら、52歳で亡くなるまでに60枚に及ぶアルバムを発表しています。また、音楽自体の探求にとどまらず、反レーガン/反ブッシュキャンペーンを行ったり、歌詞の内容を検閲する法案を廃案に追いやり、自ら大統領選立候補を検討するなど、ロックを政治や選挙に具体的に結びつける活動も行なっています。
Area – Gioia E Rivoluzione
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌、3曲目に紹介するのは、泣く子も黙るイタリアのプログレバンド「International POPular Group – AREA」の“Gioia E Rivoluzione(歓喜と革命)”。劇中の野外コンサートではカバーシングルも出したイギリスのバンドAfterhoursが出演/演奏しています。AREAはフリージャズ/実験音楽系のバンドですが、この曲はとてもポップでピースフルです。デモ隊が広場を占拠したときのライブ演奏に最適。
ティム・バックリィ – Song to the Siren
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌、次に紹介する曲は、ビブラートの効いた伸びやかで透明感のある歌声と、12弦ギターのアルペジオが美しい、1975年に28歳の若さで夭逝したアシッドフォークの騎手ティム・バックリィの「Song To The Siren」。Sirenとは、サイレンの語源となった、ギリシャ神話のセイレーン。美しい歌声で船人を誘惑し、難破させたと言われています。今なお悲しみの去らない、東日本大震災の津波を思い起こすかもしれません。ロバート・プラントやブライアン・フェリーもカバーするなど、多くのシンガーに歌い継がれている名曲です。
Long afloat on shipless oceans
I did all my best to smile
’til your singing eyes and fingers
Drew me loving to your isle
And you sang
Sail to me
Sail to me
Let me enfold you
Here I am
Here I am
Waiting to hold you
Did I dream you dreamed about me?
Were you hare when I was fox?
Now my foolish boat is leaning
Broken lovelorn on your rocks,
For you sing, ’touch me not, touch me not, come back tomorrow:
O my heart, o my heart shies from the sorrow’
I am puzzled as the newborn child
I am troubled at the tide:
Should I stand amid the breakers?
Should I lie with death my bride?
Hear me sing, ’swim to me, swim to me, let me enfold you:
Here I am, here I am, waiting to hold you’
エンツォ・デル・レ – Lavorare Con Lentezza
映画『あくせく働くな:ラジオアリーチェ』の劇中歌は、その時代を表す魅力的な曲が使われています。Web上で視聴できるものを順次紹介していきます。
今日紹介するのは、映画のタイトルでもある、エンツォ・デル・レの「Lavorare Con Lentezza」
ビフォの『NO FUTURE』の序文「1997年からみた1977年」によると、ラジオアリーチェのオープニングテーマ曲として、毎朝この曲から放送がはじまっていたようです。エンツォ・デル・レのについての注釈もありましたので、引用しておきます。
エンツォ・デル・レ
イタリア出身のシンガーソングライター。70年代には、もっとも政治的にラディカルな音楽家として知られた。本書で引用されているのは、74年に作曲された「ゆっくり働くんだ[Lavorare Con Lentezza]」の歌詞の一部である。「ゆっくり働くんだ、なにひとつ頑張ることなく。急調子で働く連中は、自分を傷つけて、しまいには病院行き。でも病院のベッドは満杯。だから間もなく死んでしまうよ…」引用元:フランコ・ベラルティ(ビフォ)『NO FUTURE ノー・フューチャー ──イタリア・アウトノミア運動史』 廣瀬 純・北川眞也 訳/解説 洛北出版